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見直しを迫られる基本給比例方式

退職金改革では基本給との連動を断つということが大変重要なポイントのひとつであると私は考えます。

平成15年の夏、ゼブラボールペンの大変興味深いテレビコマーシャルがありました。 このボールペンが如何に滑らかに書けるかを表現したコメディタッチのコマーシャルでした。 舞台はアメリカ企業、役員がズラッと並ぶ大会議室です。ヘッドハンティングされた中年の男性がその会議室に通されて、社長の正面に座らされます。

男性の目の前に1枚の「白紙の小切手」が置かれます。

社長は男性を挑発するように言います。「率直に話そう。わが社に来るのにいくら欲しいのだ。その小切手に好きなだけ書いて見給え。フフフ」男性は胸のポケットからボールペンを取り出し、まず「$」を書き、次に「1」と書き、そして、一心不乱に「0」を書いていきます。一行だけでは収まらず、2行目になった時、会議室はパニックになります。冷静だった社長も「その男を止めろー」と叫びながら、机の上に飛び乗ります。他の役員たちも挙って男性を取り押さえようとします。秘書が「助けてー」と叫ぶところでこのコマーシャルは終わります。

最初にこの話を書かせて頂いたのは、私は「白紙の小切手」が日本の退職金制度と共通点があると感じたからです。日本の企業の約8割が退職金の計算式に「基本給比例方式」を採用していらっしゃいます。

基本給比例方式の計算式 = 退職時の基本給 × 勤続年数に応じた率 × 退職事由係数

この方式は高度経済成長時代、年功序列賃金と相まって、終身雇用を奨励するために大企業で作られたものです。長く勤めるほど有利になる制度でした。賃上げ率は今でこそ微々たるものとなっていますが、昭和50年までの20年間は年あたり平均13%、昭和51年以降の20年間でもの同平均5.4%という高い率で行われました。年5%の昇給が20年間続きますと、賃金は約2.6倍になります。

昭和50年代に定年退職金を800万円と想定して退職金制度を導入されたとしたら、現在ではそれが2,000万円を超える水準になっているわけです。これでは、新入社員に「白紙の小切手」を渡し、定年退職の時に好きな金額を書いてくれというのに等しいのではないでしょうか。

もしも御社が、基本給比例方式を採用していらっしゃるのであれば、そろそろこれと訣別すべき時期が来ていると思います。本来、終身雇用が前提とはいえない中小企業がとるべき方式ではなかったのです。しかしながら、日本の雇用社会では、中小企業でも大企業の考え方を尊重するという風潮がありました。この方式の恐ろしさを意識せずに導入された企業が殆どなのではないでしょうか。退職金改革では基本給との連動を断つということが大変重要なポイントのひとつであると私は考えます。