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定額残業代とする場合は初任給相場を下回ってはいけない

<残業代込みで初任給相場を大幅に下回った例>

F社は、残業代を払っていなかった。入社時に口頭で社員との間では当社には残業代はないということを説明し、運用していた。幸いなことに社員も特に問題視していなかった。

あるとき同業の経営者からそれではまずいと教えられ、賃金明細のうえでは、基本給と残業代を分けて表示することにした。業務が拡大してきたので職安に求人を出したところ、たくさんの応募があった。

数日後、職安の係官から電話があり、求人票の賃金が事実と異なっているので、訂正しない限り掲示しないといわれた。不採用だった応募者が職安に面接内容を報告したらしい。

F社は190,000円で表示していたが、これには40時間分の残業42,600円を含んでいたので、本当の基本給は147,400円だった。あらためてこれで求人票を出したが、なかなか応募者が現れない。


基本給など所定内賃金の中に残業代を含ませることは「付け替え」と呼ばれ、「残業代を払ったように見せかけ、監督署の是正指導逃れを図るものだ」として問題視されています。

あるとき賃金明細を見たら勝手に変わって表示されていたーという例が多いようです。「突然勝手に変えられた」というのはなにごとにおいてもトラブルの元です。

会社としては「賃金は基本的に労使の話し合いで決める」の原則のもと、社員に正々堂々と説明し、合意を得れば良いのです。そのうえで社員から承諾書をもらいましょう。賃金改定(昇給)時期に総額を増やしたうえで、割増賃金を設定すれば、多くの人は納得してくれるのではないでしょうか。監督署は違法とまではいえないとの見解のようですが、個別の同意があれば否認される可能性は少ないでしょう。

基本給に残業代を含ませるときには、初任給や20代の賃金水準を意識して、それを下回らないように実施することが必要です。採用で苦労することになるうえに、採用後は大幅な昇給を行なわない限り、社員が安心して生活できる賃金にはならないからです。